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10年任期で役員選任懈怠が判明した事例|福岡アルブル司法書士事務所

F様

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取締役の任期を10年としていたため、役員変更の時期を失念していたF様。会社の登記状況を確認したところ、令和6年に任期が満了し、役員選任懈怠の状態であることが判明しました。定款や過去の議事録を確認し、必要な株主総会決議と登記手続きを整え、みなし解散となる前に会社の登記状況を正常化した事例です。

F様

ご相談のきっかけ

長年会社を経営されているF様から、会社の登記について確認してほしいとのご相談をいただきました。

会社の登記事項証明書や定款などを確認したところ、取締役の任期を10年としており、令和6年の定時株主総会の終結時に任期が満了していたことが判明しました。

F様としては、役員に変更がなかったこともあり、「同じ人がそのまま取締役を続けるのであれば、特に手続きは必要ない」と認識されていたとのことでした。

しかし、取締役は同じ方が引き続き務める場合であっても、任期が満了すれば、原則として株主総会で改めて選任する必要があります。

今回のケースでは、令和6年の任期満了時に取締役の再選手続き自体が行われておらず、いわゆる「役員選任懈怠」の状態となっていました。

状況の整理(タイムライン)

まず、会社の定款、登記事項証明書、過去の株主総会議事録などを確認し、取締役の正確な任期を整理しました。

F様の会社では、株式の譲渡制限を設けている会社であったため、定款によって取締役の任期を10年としていました。

10年という長い任期に設定しておけば、頻繁に役員変更登記を行う必要がないというメリットがあります。

一方で、任期が長いからこそ、「次の改選がいつなのか」を忘れやすいという注意点もあります。

今回も、前回の役員選任から長期間が経過していたため、F様自身も任期満了の時期を意識されておらず、令和6年に任期が満了した後も、特段の手続きをしないまま会社運営を続けていました。

そこで、

「いつ取締役に就任したのか」

「定款上の任期は何年なのか」

「どの定時株主総会の終結時に任期が満了するのか」

「任期満了時に再選の決議がされていたのか」

といった点を一つずつ確認し、現在の役員の法的な状態を整理しました。

その結果、単に役員変更の「登記だけを忘れていた」のではなく、任期満了時に必要となる役員の選任そのものが行われていなかったことが分かりました。

当事務所の対応

まずF様にご説明したのは、「登記懈怠」と「役員選任懈怠」は少し状況が異なるということでした。

例えば、任期満了時の株主総会で同じ取締役を改めて選任していたものの、その変更登記だけを申請していなかった場合には、選任手続きは行われているため、主に登記手続きの問題となります。

一方、今回のF様のケースでは、任期満了時に株主総会で再選する手続き自体が行われていませんでした。

そのため、単純に過去の日付で役員変更登記を申請するのではなく、現在の会社の機関構成や定款の内容を確認したうえで、どのように役員の状態を正常化するかを検討する必要がありました。

そこで、まず現在の株主構成や取締役の人数、定款上必要とされる役員数などを確認しました。

そのうえで、株主総会を開催して取締役を改めて選任し、必要な株主総会議事録や就任に関する書類を整えました。

また、令和6年の任期満了から現在までの期間についても、会社法上の役員の権利義務に関する規定が適用されるかを含め、会社の状況に応じて整理したうえで登記内容を検討しました。

役員の任期は、単純に「就任してから10年後の日付まで」と計算できるとは限りません。

定款の規定や事業年度、役員を選任した株主総会の時期などによって、実際の任期満了時期が決まります。

そのため、F様にも任期の考え方をご説明しながら、今後同じことが起こらないよう、次回の役員改選時期についても併せて確認しました。

必要な株主総会決議と書類を整えた後、役員変更登記を申請し、登記簿上の役員情報を現在の会社の実態に合った状態へ整えました。

結果

今回の手続きにより、長期間そのままになっていた役員の任期について整理し、会社の役員構成と登記簿の状態を正常化することができました。

F様からすると、実際に会社を経営している方も役員構成も何も変わっていなかったため、「役員変更が必要な状態になっている」という認識がなかったことが、今回の大きなポイントでした。

役員変更登記は、役員が実際に交代した場合だけ必要になるものではありません。

同じ方が引き続き取締役を務める場合でも、任期が満了すれば、原則として改めて選任手続きを行い、役員変更登記をする必要があります。

特に取締役の任期を10年としている会社では、設立時や前回の役員変更から長期間が空くため、任期満了を忘れてしまうケースがあります。

今回のF様も、司法書士に会社の登記状況を確認したことをきっかけに任期満了が判明し、みなし解散の対象となる前に必要な手続きを進めることができました。

担当者からのひとこと

取締役の任期を10年に設定することは、役員変更登記の回数を減らせるため、同族会社や役員構成が変わりにくい会社ではメリットがあります。

一方で、10年という期間は非常に長く、会社を設立した当時のことや前回の役員変更の時期を忘れてしまうことも珍しくありません。

「役員はずっと同じだから、登記も何も変わっていないはず」と思っていても、実際には任期が満了していることがあります。

株式会社の役員変更登記には登記期間が定められており、必要な登記を長期間行っていない場合には、過料の対象となる可能性もあります。

特に、設立から10年前後が経過している会社や、長期間役員変更登記をしていない会社については、一度定款と登記簿を確認されることをおすすめします。

当事務所では、現在の登記簿だけを見るのではなく、定款や過去の株主総会議事録なども確認しながら、役員の任期や必要となる手続きを整理しています。

「うちの会社の役員任期がいつまでか分からない」「しばらく役員変更登記をした記憶がない」という場合も、お気軽にご相談ください。

※当サイトに掲載している事例には、福岡アルブル司法書士事務所で取り扱った案件のほか、代表司法書士がこれまでの司法書士業務において実際に担当・関与した案件を含みます。守秘義務及びプライバシー保護の観点から、案件を特定できないよう、会社名・金額・時期その他の事情を一部変更・一般化して掲載しています。

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