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[株式譲渡・事業譲渡/種類株式・組織再編・遺言・民事信託を活用した自社株承継対策]

個人事業主から民泊事業を買収・事業譲渡に伴う旧債務の免責登記までサポート|福岡アルブル司法書士事務所

A社様

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不動産会社が新たな事業展開として、個人事業主が運営していた民泊事業を事業譲渡により取得。譲渡後も従前から使用されていた事業上の名称(屋号)を継続して使用する予定であったことから、事業譲渡に伴う旧債務について譲受会社が責任を負う可能性を検討し、管轄法務局への事前照会を経たうえで、会社法第22条第2項に基づく「商号譲渡人の債務に関する免責の登記」までサポートした事例です。

A社様

ご相談のきっかけ

ご相談者様は、不動産事業を営む株式会社でした。

事業領域を拡大するため、個人事業主が運営していた民泊事業を買収することとなり、事業譲渡契約によるM&Aを進められていました。

今回のM&Aでは会社そのものの株式を取得するのではなく、個人事業主が保有・運営している民泊事業を株式会社が譲り受ける「事業譲渡」の方法が採用されました。

また、譲受会社は、事業譲渡後も、それまで民泊事業において使用されてきた名称(屋号)を引き続き使用する予定でした。

そこで、

「個人事業主から株式会社への事業譲渡でも、旧事業者の債務について免責登記をすることができるのか」

「個人事業主が商号登記をしていない場合でも、事業上使用している屋号を対象として免責登記ができるのか」

という点を含め、事業譲渡後の登記手続についてご相談いただきました。

状況の整理

事業譲渡では、譲渡対象となる資産・契約・債務等を個別に定めて事業を承継することができます。

そのため、株式譲渡によるM&Aとは異なり、譲渡人が有するすべての債務を当然に譲受人が承継するわけではありません。

もっとも、会社法上、注意しなければならない規定があります。

会社法第22条第1項では、事業を譲り受けた会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合、原則として、譲受会社も譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う旨が規定されています。

そして、会社法第24条第2項により、会社が個人商人の営業を譲り受けた場合にも、その個人商人を「譲渡会社」とみなして会社法第22条等が適用されます。

そのため、今回のような、

個人事業主 → 株式会社

という事業譲渡であっても、従前の事業上の名称を継続して使用する場合には、旧事業者の債務に関する責任について検討する必要があります。

一方、会社法第22条第2項では、事業譲渡後、遅滞なく、譲受会社がその本店所在地において、

「譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨」

を登記した場合には、同条第1項による責任を負わないものとされています。

そこで今回は、この「商号譲渡人の債務に関する免責の登記」を行うことを検討しました。

対応方法

今回、通常の会社間の事業譲渡と異なっていたのは、譲渡人が個人商人であり、かつ、その個人商人について「商号の登記」がされていなかったことです。

民泊事業では一定の事業上の名称(屋号)が使用されていましたが、その名称自体が個人商人の商号として法務局に登記されているわけではありませんでした。

そのため、

  • 商号登記をしていない個人商人から株式会社への事業譲渡について、会社法第22条第2項の免責登記をすることができるか
  • 登記申請にあたり、個人商人からどのような承諾書を取得すべきか
  • 登記された商号ではなく、実際の事業で使用されていた「屋号」を登記記録上どのように特定するか

という点が実務上の検討事項となりました。

結果

管轄法務局への事前照会を経て、事業譲渡後、譲受会社について商号譲渡人の債務に関する免責の登記を行いました。

これにより、民泊事業について従前使用されていた名称を継続して使用しながら、会社法第22条第1項に基づき旧事業者の事業上の債務について譲受会社が責任を負うリスクに対応することができました。

今回のM&Aでは、

個人事業主が営む民泊事業
↓
不動産会社が事業譲渡により取得
↓
従来の事業上の名称を継続使用
↓
旧事業者の債務に関する免責登記

という一連の手続きを実施しました。

事業譲渡は、契約を締結して事業を取得すれば終了するものではありません。

譲渡後に使用する屋号・商号や債権者との関係なども含め、会社法・商業登記上の論点を事前に確認したうえでM&Aを実行することが重要となります。

担当者からのひとこと

M&Aには、株式を取得する「株式譲渡」だけでなく、事業に必要な資産・契約等を選択して取得する「事業譲渡」という方法があります。

事業譲渡は、取得対象を個別に設計できる点が大きな特徴ですが、一方で、取得する事業の内容や譲渡後の事業運営方法によっては、会社法上の思わぬ問題が生じることがあります。

その一つが、事業譲渡後に従前の商号・屋号を引き続き使用するケースです。

事業譲渡契約上、譲渡人の債務を承継しないこととしていても、それだけで会社法第22条に基づく第三者に対する責任の問題が当然に解消されるわけではありません。

そのため、従前の商号・屋号を継続して使用する場合には、

「旧事業者にどのような債務が存在するのか」

「会社法上、譲受会社がその債務について責任を負う可能性がないか」

「免責登記等の対応が必要ではないか」

といった点まで確認しておくことが重要です。

また、今回のように、個人事業主から会社への事業譲渡や、登記されていない屋号を使用している事業の譲渡では、会社間の一般的な事業譲渡とは異なる登記実務上の検討が必要となることがあります。

福岡アルブル司法書士事務所では、株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割等のM&A・組織再編について、会社法・商業登記の観点から手続きをサポートしています。

「個人事業を会社で買収したい」

「事業譲渡後も既存の屋号・ブランド名を使いたい」

「M&A後に必要となる会社法・登記手続きを確認したい」

といった場合にも、お気軽にご相談ください。

※当サイトに掲載している事例には、福岡アルブル司法書士事務所で取り扱った案件のほか、代表司法書士がこれまでの司法書士業務において実際に担当・関与した案件を含みます。守秘義務及びプライバシー保護の観点から、案件を特定できないよう、会社名・金額・時期その他の事情を一部変更・一般化して掲載しています。

この事例のサービス
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